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「小児かかりつけ診療料」についてご教示ください。

2016年の診療報酬改定で小児の主治医機能を評価する「小児かかりつけ診療料」が創設されました。いくつかの要件を満たせば耳鼻咽喉科などの医院でも算定可能でしょうが、少子化の地域では算定しづらいようにも思われます。地域の特性に応じて、所在する医療機関の経営に影響を与えることが考えられ、地域によって経営格差が拡大するのではないか、さらには将来廃止されて短命で終るのではないか、などと考えたりもします。当面の対処を探るうえでも、この「小児かかりつけ診療料」に関する内容や留意点などありましたら、ご教示下さい。(内科クリニック院長52歳)

「小児かかりつけ診療料」は「地域包括診療料を小児に特化したもの」 子供のホームドクターとしての付加価値を高めるための取組課題の一つ

小児かかりつけ診療料は、今回の診療報酬改定で新設された項目です。その内容を確認する限り、地域包括診療料を小児に特化したものといえます。また、当該診療料は施設基準届出の対象です。なお、貴院の標榜科目・施設基準届出項目・職員数等がご質問ではわかりかねますので、あくまでも全般的な注意点についてお伝えします。

1.医師要件について
「専ら小児科又は小児外科を担当する常勤の医師が1名以上配置」との要件が設定されていることから、1人の常勤医師が、たとえば内科と小児科の診療を兼任している場合は要件を満たさないことになります。また、小児科のみ診療する医師でも非常勤である場合は、要件を満たしません。このような点に注意が必要です。

2.院内体制(緊急時に際する体制)について
再診料時間外対応加算の区分1または2の施設基準届出が必須です。これらの加算の要件のベースにあるのは「常時または夜間の数時間に渡り、患者からの連絡を応需できる体制の確保」です。さらに、(対象が小児に限定されていることから)患者家族の不安をどのようにして解消していくのか、解消するためにどうアピールしていくのかが課題になります。

3.地域単位の公共事業等への参画

4.運用上の注意点
a.当該診療料は「原則として1人の患者につき1か所の保険医療機関が算定する」こととなっています。ついては、下記b-カに関連しますが、定められた書類を患者に交付し、同意を得なければなりません。

b.患者や家族への指導は、次の点を実施しなければなりません。
(ア)急性疾患を発症した際の対応の仕方や、アトピー性皮膚炎、喘息その他乳幼児期に頻繁にみられる慢性疾患の管理等について、かかりつけ医として療養上必要な指導及び診療を行うこと。
(イ)他の保険医療機関と連携のうえ、患者が受診している医療機関をすべて把握するとともに、必要に応じて専門的な医療を要する際の紹介等を行うこと。
(ウ)患者について、健康診査の受診状況及び受診結果を把握するとともに、発達段階に応じた助言・指導を行い、保護者からの健康相談に応じること。
(エ)患者について、予防接種の実施状況を把握するとともに、予防接種の有効性・安全性に関する指導やスケジュール管理等に関する指導を行うこと。
(オ)当該診療料を算定する患者からの電話等による緊急の相談等に対しては、原則として当該保険医療機関において、常時対応を行うこと。
(カ)かかりつけ医として、上記アからオまでに掲げる指導等を行う旨を患者に対して書面を交付して説明し、同意を得ること。また、小児かかりつけ医として上記アからオまでに掲げる指導等を行っている旨を、当該保険医療機関の外来受付等の見やすい場所に掲示していること。

c.対象患者は、「当該保険医療機関を4回以上受診(予防接種の実施等を目的とした保険外のものを含む)した未就学児(3歳以上の患者にあっては、3歳未満から小児かかりつけ診療料を算定しているものに限る)」とされていることから、3歳未満かつ4回以上受診している患者が算定の対象となります。

以上の点より、冒頭で「地域包括診療料を小児に特化したもの」とお伝えしたことをご理解いただけると存じます。
ご質問にある通り、「少子化の地域では算定しづらい」と思われるのは充分にご理解できます。とはいえ、少子化であるからこそ、今まで以上に「より深く」子供のホームドクターとしての役割をどのように務めていくか、付加価値を高めていくための取組課題の一つとして、当該診療料の施設基準届出があると考えます。

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