コラム

2026年度診療報酬改定:整形外科経営の実務戦略レポート

2026.2.24|医療政策医療経営

 

令和8年(2026年)2月13日の中医協答申および関連資料に基づき、整形外科診療所経営者に特化した実務レポートを作成しました。

令和8年度診療報酬改定 実務レポート【整形外科編】

本レポートは、2026年2月13日の中医協答申資料に基づき、整形外科診療所の経営に直結する重要変更点を解説します。

今回の改定は、**「物価高・賃上げへの緊急対応」と「医療DX・サイバーセキュリティの必須化」**が二大テーマです。
特に、リハビリテーション等で再診頻度が高い整形外科においては、基本診療料(初・再診料)周辺の新設項目が収益に与えるインパクトは極めて大きくなります。

 

① 整形外科の診療所に関係する主な変更点

今回の改定では、個別の処置・手術点数の変更以上に、すべての患者に関わる「基本部分」の評価変革が整形外科経営に影響を与えます。

 

1.基本診療料の引き上げと「物価対応料」の新設

    • 初診料・再診料の引き上げ:昨今のコスト増を反映し、基本点数そのものが引き上げられます。
    • 「物価対応料」の新設:物価高騰への対応として、外来・在宅医療において「物価対応料」が新設されます。
    • ポイント:初診時・再診時にそれぞれ算定可能です。恒久的な点数とは別に、経済情勢に応じた対応として設定されました。

2.医療DXとサイバーセキュリティの評価厳格化

    • 「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設:従来の医療DX関連加算が再編され、初診時・再診時・入院時に評価を行う「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されます。
    • 重要要件:算定要件として**「サイバー攻撃対策」**が含まれています。
      診療所であっても、厚労省ガイドラインに準拠したセキュリティ体制が必須となります。

3.賃上げ支援の拡充

    • ベースアップ評価料の拡充:理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、看護師、事務職員等の賃上げを行う医療機関に対し、「ベースアップ評価料」の対象や要件が拡大されます。
      多くのコメディカルスタッフを抱える整形外科にとって重要な原資となります。

4.医薬品・選定療養の動向

    • 長期収載品の選定療養:湿布薬や鎮痛剤などで先発品を処方する場合の患者自己負担(選定療養)の仕組みについて、議論が継続・定着しています。
      窓口でのトラブル回避には継続的な対応が必要です。

 

 

② 変更が整形外科診療所の経営に及ぼす影響

今回の改定は、リハビリ通院などで来院回数が多い整形外科モデルに対し、適切に対応すれば「増収」の機会となる一方、セキュリティ等の体制不備は大きな機会損失となります。

 

1.収益構造への影響:再診回数の多さがメリットに

    • 増収要因:初・再診料の引き上げに加え、新設される「物価対応料」は、患者の来院ごとに算定される構造です(再診時も対象)。
      週数回のリハビリ通院患者を多く抱える整形外科では、他科に比べてこの加算の積み上げ効果が最大化されます。
    • 再診単価の底上げ:従来、リハビリのみの再診は単価が固定されがちでしたが、物価対応料とDX関連加算により、基本部分の単価が上昇します。

2.算定できる診療所とできない診療所の格差

    • セキュリティの壁:新設の「電子的診療情報連携体制整備加算」は、サイバーセキュリティ対策が要件です。
      これを満たさない(古いレセコンやセキュリティソフト未導入の)診療所は、多くの患者が来院するにもかかわらず加算を取りこぼすことになり、近隣の対応済みクリニックと収益力で差がつきます。

3.人員配置・体制整備コストへの影響

    • 人件費の上昇:PT/OTなどの専門職確保競争が激化する中、ベースアップ評価料を活用した賃上げは必須です。
      これを怠るとスタッフ流出のリスクが高まります。
    • システム投資:サイバー対策(UTM導入、バックアップ体制など)は、もはや「コスト」ではなく「診療報酬を得るための設備投資」と捉える必要があります。

 

 

③ 取るべき対策

整形外科診療所経営者が実行すべきアクションを優先順位順に提示します。

 

【優先度:高】すぐに確認・着手すべき項目(1〜2ヶ月以内)

    • サイバーセキュリティ対策の現状診断:
      新設の「電子的診療情報連携体制整備加算」を確実に取り込むため、自院のシステムが厚労省のガイドライン(医療情報システムの安全管理に関するガイドライン)に適合しているか、ベンダーに至急確認してください。
    • 賃上げ計画の策定:
      4月からの賃上げに向け、ベースアップ評価料の算定届出の準備を行ってください。
      多数のスタッフを抱える整形外科では、この加算の算定漏れは経営へのダメージが大きすぎます。

【優先度:中】半年以内に整備すべき体制

    • レセコン改修のスケジュール確保:
      「物価対応料」等の新設項目に対応するため、システム改修が必須です。
      改定時期はベンダーが混み合うため、早めの予約が必要です。
    • 窓口業務フローの見直し:
      マイナ保険証の利用率向上や電子処方箋対応など、DX要件を満たすためのオペレーションを事務スタッフと共有してください。
      高齢患者が多い場合、スタッフによるサポート体制の構築が重要です。

【優先度:低】中長期で取り組むべき戦略

    • リハビリ予約・管理のデジタル化:
      来院頻度が高い患者の利便性を高め、かつスタッフの事務負担を減らすため、予約システムや問診のDX化を進め、将来的なデータ提出義務化にも備えてください。

 

 

まとめ

令和8年改定は、「リハビリ等で来院頻度が高い整形外科」にとって、物価対応料やDX連携加算の恩恵を最も受けやすい内容です。

しかし、その果実を得るためのチケットが**「サイバーセキュリティ対策」と「賃上げ実施」**です。
システム投資を惜しまず、これら新設項目を確実に算定することが、今後の経営安定の絶対条件となります。

 

 

【本レポートの活用にあたって】
本資料は、2026年2月13日付の中医協答申資料をソースとして 、最新の生成AI技術を用いて当会が独自に分析・編纂したものです 。
速報性を重視しているため、実際の運用や解釈が今後の官報告示等で異なる場合があります 。
投資や雇用などの重要な経営意思決定に際しては、本レポートの示唆を一つの指針としつつ、医業経営の各専門家(コンサルタント、税理士、労務士、弁護士等)による最終的な確認と指導を受けるようにしてください。

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