コラム

2026年度診療報酬改定:循環器科経営の実務レポート

2026.2.20|医療政策医療経営

 

 

令和8年(2026年)2月13日の中医協答申および関連資料に基づき、循環器科診療所経営者に特化した実務レポートを作成しました。

令和8年度診療報酬改定 実務レポート【循環器科編】

本レポートは、2026年2月13日の中医協答申資料に基づき、循環器科診療所の経営に直結する重要変更点を解説します。

今回の改定は、**「慢性心不全・慢性腎臓病の管理に対する評価拡充」と「物価高・DX対応のための基本料構造改革」**が二大テーマです。
特に、生活習慣病に加え、心不全や腎臓病を診る循環器科専門医の役割が、かかりつけ医機能の中で明確に評価される内容となっています。

 

① 循環器科の診療所に関係する主な変更点

心不全患者等の地域での受け皿としての機能強化と、DX・セキュリティ対策が収益確保の条件となります。

 

1.「地域包括診療加算・診療料」の対象疾患拡大(重要)

かかりつけ医機能を評価する「地域包括診療加算」「地域包括診療料」の対象疾患に、従来の4疾病(脂質異常症、高血圧症、糖尿病、認知症)に加え、**「慢性心不全」「慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないもの)」**が追加されました。

    • 意義: これまで特定疾患療養管理料で算定していた心不全・CKD患者について、要件(2疾患以上保有など)を満たせば、より点数の高い地域包括診療料等の算定が可能になります。

2.逆紹介患者受け入れの評価新設

    • 「特定機能病院等紹介患者受入加算」の新設: 診療所が、特定機能病院や地域医療支援病院等からの紹介患者を初診で受け入れた場合、60点が加算されます。
      PCI後や心不全入院後の患者を地域で引き受ける循環器科にとって、直接的な増収項目です。

3.基本診療料の引き上げと「物価対応料」の新設

    • 初・再診料の引き上げ: 基本点数が引き上げられます。
    • 「物価対応料」の新設: 外来診療において、患者1人につき初診時2点、再診時2点が加算されます(令和9年6月以降は点数変更あり)。

4.医療DXとサイバーセキュリティの評価(新設加算)

    • 「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設: 従来の医療DX推進体制整備加算等が廃止・再編され、初診時・再診時(月1回)に算定可能な新加算となります。
    • 必須要件: 算定には**「サイバー攻撃対策」**(バックアップ体制やUTM導入等)が必須となります。

5.心不全再入院予防の評価(病院連携)

    • 「心不全再入院予防継続管理料」の新設: 急性心不全で入院した患者に対し、退院後も継続して計画的な評価・治療を行った場合の評価です。
      主に病院向けの項目ですが、地域連携パス等を通じた診療所との役割分担が進む契機となります。

 

② 変更が循環器科診療所の経営に及ぼす影響

今回の改定は、専門性を活かして地域のかかりつけ医機能を担う循環器科診療所にとって、強力な「追い風」となります。

 

1.収益構造への影響:包括管理への移行による単価増

    • 増収要因(管理料): 「慢性心不全」「慢性腎臓病」が地域包括診療料等の対象となったことで、高血圧+心不全といった組み合わせの患者を、包括点数(地域包括診療加算や診療料)へ移行させることが可能になります。
      これにより、特定疾患療養管理料算定時よりも1人あたりの管理料収益が増加する可能性があります。
    • 増収要因(基本料): 初・再診料のアップ、物価対応料、DX新加算、紹介受入加算を組み合わせることで、外来単価のベースが底上げされます。

2.算定できる診療所とできない診療所の格差

    • DX・セキュリティの壁: 「電子的診療情報連携体制整備加算」は、再診時にも算定可能(月1回)となるため、定期通院患者が多い循環器科では経営インパクトが大きいです。
      しかし、サイバーセキュリティ対策が未実施の場合、この加算を全て失います。
    • 包括管理の体制: 地域包括診療料等は「24時間対応(連携含む)」等の要件があります。
      これに対応できる診療所と、そうでない診療所で収益力に差が開きます。

3.患者動向:基幹病院からの逆紹介増加

    • 連携の加速: 大病院側にも「逆紹介」を促すインセンティブが働いており、かつ診療所側にも「紹介患者受入加算」がついたことで、状態の安定した心不全や虚血性心疾患患者の診療所への紹介(逆紹介)が加速します。

 

③ 取るべき対策

循環器科診療所経営者が実行すべきアクションを優先順位順に提示します。

 

【優先度:高】すぐに確認・着手すべき項目(1〜2ヶ月以内)

    • サイバーセキュリティ対策の実施:
      新設の「電子的診療情報連携体制整備加算」を4月から算定するため、ベンダーに至急連絡し、自院のシステムが厚労省ガイドラインに適合しているか確認・改修してください。
    • 賃上げ計画の策定:
      看護師や検査技師等のスタッフ確保のため、「ベースアップ評価料」を活用した賃上げ計画を策定し、届出準備を行ってください。

【優先度:中】半年以内に整備すべき体制

    • 対象患者の抽出と管理料移行の検討:
      自院の患者リストから「高血圧+心不全」「糖尿病+CKD」など、新たに地域包括診療加算・診療料の対象となる患者を抽出してください。
      要件を満たす場合、患者への説明と同意取得の準備を進め、より点数の高い管理料への移行を検討してください。
    • 連携病院への周知:
      近隣の基幹病院の連携室に対し、当院が「特定機能病院等紹介患者受入加算」の算定施設となる予定であること、および心不全・CKD患者の受け入れが可能であることを伝え、パイプを太くしてください。

【優先度:低】中長期で取り組むべき戦略

    • 生活習慣病管理の質向上:
      生活習慣病管理料におけるデータ提出(外来データ提出加算)を見据え、検査データの電子化や管理体制を整えてください。
      長期処方やリフィル処方箋への対応方針も明確にし、掲示等で周知する必要があります。

 

まとめ

令和8年改定は、循環器科にとって**「心不全・CKDの地域管理」が正当に評価される大きな転換点です。

「地域包括診療加算」の対象拡大と「紹介受入加算」を最大限活用することで、専門性を活かした増収が可能です。
ただし、その前提として「サイバーセキュリティ対策」と「賃上げ」**への迅速な対応が不可欠です。

 

 

【本レポートの活用にあたって】
本資料は、2026年2月13日付の中医協答申資料をソースとして 、最新の生成AI技術を用いて当会が独自に分析・編纂したものです 。
速報性を重視しているため、実際の運用や解釈が今後の官報告示等で異なる場合があります 。
投資や雇用などの重要な経営意思決定に際しては、本レポートの示唆を一つの指針としつつ、医業経営の各専門家(コンサルタント、税理士、労務士、弁護士等)による最終的な確認と指導を受けるようにしてください。

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