コラム

2026年度診療報酬改定:産婦人科経営の実務指針

2026.2.20|医療政策医療経営

 

 

令和8年(2026年)2月13日の中医協答申および関連資料に基づき、産婦人科診療所経営者に特化した実務レポートを作成しました。

令和8年度診療報酬改定 実務レポート【産婦人科編】

本レポートは、2026年2月発表の中医協答申資料に基づき、産婦人科診療所の経営に直結する重要変更点を解説します。

今回の改定は、**「物価高・賃上げへの緊急対応」と「医療DX・セキュリティの必須化」に加え、産婦人科特有の「分娩・周産期医療の質の評価」**が強化されています。

 

① 産婦人科診療所に関係する主な変更点

今回の改定では、分娩を取り扱う有床診療所に対する新加算や、妊産婦の連携に関する評価が見直されています。

 

1.基本診療料の引き上げと「物価対応料」の新設

    • 初診料・再診料の引き上げ: 昨今のコスト増を反映し、基本点数が引き上げられます。
    • 「物価対応料」の新設: 物価高騰への対応として、外来・在宅医療において「物価対応料」が新設されます(初診時・再診時・訪問診療時にそれぞれ算定可能)。

2.分娩・周産期医療の評価新設

    • 「産科管理加算」の新設: 分娩を取り扱う保険医療機関において、母子の心身の安定・安全に配慮した環境整備や、地域連携(産後ケア事業等)を行う体制を評価する加算が新設されました。
    • 点数: 有床診療所の場合、入院1日につき50点(病院は250点)。
    • 対象: 分娩を伴う入院中の患者(分娩日以降)。
    • 要件: 専任の助産師配置(地域連携業務の経験等)や療養環境の整備など。

3.連携・紹介に関する評価の拡充

    • 「連携強化診療情報提供料」の見直し: 産科・産婦人科を標榜する医療機関において、他の医療機関から紹介された妊婦について、頻回の情報提供が必要な場合、**「月1回」**の算定が可能となります(通常は3月に1回)。
    • 「特定機能病院等紹介患者受入加算」の新設: 診療所が大病院(特定機能病院等)からの紹介患者を初診で受け入れた場合、60点が加算されます。

4.医療DXとサイバーセキュリティの評価厳格化

    • 「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設: 従来の医療DX関連加算が再編され、初診・再診時に算定可能な新加算となります。
      算定要件として**「サイバー攻撃対策」**が含まれており、厚労省ガイドラインに準拠したセキュリティ体制が必須となります。

5.遺伝学的検査の拡充

    • HBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群): 患者の血縁者に対し、発症前の遺伝子検査・指導が保険診療で実施可能となります。

 

② 変更が産婦人科診療所の経営に及ぼす影響

分娩取扱施設にとっては、新設加算による入院収益の増加が見込まれますが、その前提として助産師の配置や地域連携体制が問われます。

 

1.収益構造への影響:分娩取扱施設への追い風

    • 増収要因(入院): 新設の「産科管理加算(50点/日)」は、分娩入院(例:5〜6日間)の全期間で算定できれば、1分娩あたり数千円の増収となります。
      年間分娩件数が多い診療所では無視できない金額です。
    • 増収要因(外来): 基本料アップと「物価対応料」、DX関連加算により、妊婦健診(保険適用分)や婦人科外来の単価が底上げされます。

2.連携業務の収益化

    • ハイリスク妊婦の管理: 大病院との連携(逆紹介での妊婦健診受入や、情報提供)が、これまで以上に点数として評価されます。
      「連携強化診療情報提供料」の算定頻度緩和により、こまめな情報連携が収益につながります。

3.人員配置・体制整備コスト

    • 助産師の確保と賃上げ: 「産科管理加算」の要件に専任助産師が含まれるほか、「ベースアップ評価料」の拡充により、スタッフ(特に助産師・看護師)の賃上げ圧力が強まります。
    • セキュリティ投資: サイバー攻撃対策を行わないと「電子的診療情報連携体制整備加算」が算定できず、算定する競合院と比較して初・再診料で差がつきます。

 

③ 取るべき対策

産婦人科診療所経営者が実行すべきアクションを優先順位順に提示します。

 

【優先度:高】すぐに確認・着手すべき項目(1〜2ヶ月以内)

    • 「産科管理加算」の要件確認と届出準備(分娩取扱施設):
      新設の50点/日を算定するため、専任助産師の配置要件(地域連携業務の経験等)を満たすスタッフを確認・配置し、施設基準の届出準備を進めてください。
    • 賃上げ計画の策定:
      助産師等の専門職確保のため、「ベースアップ評価料」を活用した賃上げ計画を策定してください。
    • サイバーセキュリティ対策の現状診断:
      電子カルテや予約システムのセキュリティ対策がガイドラインに適合しているか、ベンダーに確認し、必要な機器(UTM等)導入を検討してください。

【優先度:中】半年以内に整備すべき体制

    • 地域連携ルートの再構築:
      近隣の周産期母子医療センターや産後ケア事業実施施設との連携フローを見直し、「産科管理加算」や「連携強化診療情報提供料」の算定要件を満たす実績作り(連携の事実作り)を進めてください。
    • HBOC検査・指導の体制検討:
      遺伝性腫瘍のカウンセリングや検査について、自院で対応するか、専門施設へ紹介するかのフローを明確化してください。

【優先度:低】中長期で取り組むべき戦略

    • DXによる妊産婦利便性の向上:
      オンライン資格確認、電子処方箋に加え、今後は電子カルテ情報共有サービスの導入が進みます。
      里帰り出産時の情報連携などがスムーズになるよう、DX対応を進めてください。

 

まとめ

令和8年改定は、産婦人科診療所に対し、**「分娩・入院環境の質向上(産科管理加算)」と「医療DX・セキュリティ」**への投資を求めています。

特に分娩取扱施設では、新設加算を確実に算定することで、物価高騰によるコスト増を補う必要があります。
また、妊婦の頻回な情報連携も評価されたため、地域の中核病院との連携強化が経営安定の鍵となります。

 

【本レポートの活用にあたって】
本資料は、2026年2月13日付の中医協答申資料をソースとして 、最新の生成AI技術を用いて当会が独自に分析・編纂したものです 。
速報性を重視しているため、実際の運用や解釈が今後の官報告示等で異なる場合があります 。
投資や雇用などの重要な経営意思決定に際しては、本レポートの示唆を一つの指針としつつ、医業経営の各専門家(コンサルタント、税理士、労務士、弁護士等)による最終的な確認と指導を受けるようにしてください。

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