コラム

楽観視できない医療・福祉分野の働き手の確保

2023.3.20|医療政策

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によれば、1971年から1974年生まれの団塊ジュニア世代が65歳超となる2040年には、20~64歳人口は2020年と比較すると約1,400万人減少し5,543万人となり、人口全体のちょうど半分までになってしまうと推計されています。

一方で、医療や介護のサービスを受ける可能性が高まる高齢者は、同期間に3,584万人から3,920万人に増加します。現状でも人手不足が課題となっている医療・介護サービスの提供体制は、将来的に大丈夫なのでしょうか?

厚生労働白書によれば、社会保障の担い手である医療・福祉分野の就業者数 (事務職を含む)は、2021年で891万人となっています。統計の取れる2002年以降についてみると、2021年は2002年の約1.9倍となっており、就業者数は右肩上がりで増加しています。

その結果、全産業に占める医療・福祉の就業者の割合は、2002年段階では7.5%(約13人に1人)だったものが、2021年には13.3%にまで増え、就業者の約8人に1人が医療・福祉分野で働いています。

2040年に向けて高齢者数は336万人増加、75歳以上が379万人増加するため、医療・介護サービスの需要は更に増加します。そのため2018年の年齢別利用実績を基に推計した医療・福祉分野で必要とされる2040年の就業者数は、1,070万人(総就業者数の18~20%)まで増加します。つまり2040年には、日本人の約5人に1人が医療・福祉分野で必要とされることになります。女性だけでみると、おそらく4人に1人以上です。

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