コラム

体質改善によるスリム化が必要なメタボ状態の診療報酬制度

2020.3.20|医療政策

4月からの診療報酬改定、2年に一度の医療サービスの公定価格の見直しによる、各医療機関の経営に与える影響は多大です。重要であるからこそ、是非とも改善してもらいたい点があります。

 第一に、点数や算定要件・施設基準等の決定から、患者さんに実際に請求を開始する4月1日までの準備期間が短すぎる点です。
改定の基本方針が社会保障審議会において検討が行われた後、年末に決定され、改定率については年末の政府の予算編成の中で決定されます。その後に中央社会保険医療協議会において、改定率の予算内で基本方針に則って具体的な改定項目の詳細を検討し、2月上旬に具体的な改定内容が厚生労働大臣に答申されます。厚生労働省内で詳細を詰めて3月上旬に厚生労働大臣が告示・通知の発出をします。レセプト請求システムの変更や院内職員への周知をするために、医療機関に与えられた猶予はたった3週間余りしかありません。

第二に、点数の種類が多く複雑過ぎる点、明確ではない算定要件・施設基準等があるため、医療機関、厚生局、厚生労働省で解釈に違いが出てしまう点です。
点数の種類は増加する一方であり、点数表は厚く重くなりメタボ化しています。急性期病院の場合は、出来高に加えてDPCの点数表も関係してきます。更に大変なのはケアミックスの病院です。
地域包括ケアシステムへの対応をしている医療機関で介護事業にまでサービスを広げている場合は、介護報酬の点数表の内容まで理解をしておく必要があります。
算定要件・施設基準等の解釈については、前回の改定では厚生労働省から疑義解釈資料が1年9か月に亘り19回も送付されています。疑義内容が確定するまでは各医療機関の請求の仕方による不公平が生じている可能性が高いため、改善すべき問題だと思います。

第三に、患者さんが領収書の明細を受け取っても内容の理解が非常に困難なため、医療機関に対する牽制が働かない点です。
レセプト電子請求をしている医療機関は、原則的に領収書に加え、詳細な医療費の内訳を記載した明細書を無償で交付しなければならなくなりましたが、明細の内容の意味が分かる患者さんは、ほとんどいないのではないでしょうか?また患者さんから質問を受けて、説明できる医師や看護師、コメディカルはかなり限られるのではないかと想像します。

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