医師の働き方改革、実現までの遠い道程
2022.5.20|医療政策
日本医師会、四病院団体協議会、全国有床診療所連絡協議会は、3月18日に宿日直許可の基準緩和など、医師の業務の特殊性を踏まえて対応することなどを要望した「医師の働き方改革に関する要望書」を後藤茂之厚労相に提出しました。
要望書の内容は、医師の宿日直は一般業種と異なり、
• 救急外来、入院患者対応といった気を張り詰めた業務が一定程度発生する
• 宿日直中であっても、応招義務があるため対応しなければならない
• 多くの医療機関が自院の医師だけでは対応できず大学病院からの応援に依存している
というような特殊性があるため、宿日直許可の回数(宿直勤務は週1回、日直勤務は月1回を限度)の増加、2024年4月から予定されている時間外労働の上限規制の罰則適用を数年猶予することなどを要望しています。
とは言え、そもそも医師の働き方改革については、その特殊性に配慮し5年間先延ばしされています。一般の労働者の場合は、2019年4月1日(中小企業はその1年後)から「時間外労働の上限」などについて、新しい基準が適用されました。医師の場合は規制の具体的あり方等について、医療界も参加した検討の場を踏まえて、改正法施行5年後つまり2024年から図1のような内容で適用されることに決められました。
一般の労働者は、時間外労働の上限が原則1年360時間、例外1年720時間(図1の一般則)のところ、医師の例外は1年960~1,860時間。上限1,860時間についてはあくまで暫定的な特例の水準としていますが、10年以上先の2035年度末までかけて短縮するという医師の健康への配慮という点で疑問が残る形で決着しているにもかかわらず、主要な医師団体はコロナ禍という特殊事情などを理由にして、時間外労働の上限規制の罰則適用の先延ばしを求めているのです。
「医師・医療従事者の働き方改革の推進」については、「地域医療構想の実現等」、「実効性のある医師偏在対策の着実な推進」と併せて三位一体で推進する旨(詳細、図2)を、2019年から厚生労働省は提唱してきました。
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