未曽有の財政危機、 国民皆保険制度を維持するために できること
2021.1.20|医療政策
コロナ危機への迅速な対応を大義名分にして、国費が湯水のように使われています。財源は全て赤字国債、現役・将来世代からの借金です。収入の大部分を保険料と税金で賄っている皆保険制度は、このままで大丈夫なのでしょうか?
国際通貨基金(IMF)によると日本の政府債務は、2020年に国内総生産(GDP)比266%に達し拡大傾向が続いており、米国(131%)やイタリア(162%)など先進国の中で突出している状況です。
太平洋戦争末期においても200%前半でしたので、非常に深刻な事態と言えるでしょう。
戦前からの債務残高対GDP比の推移
出典:税務省「令和3年度予算の編成等に関する建議」参考資料 令和2年11月25日
政府の2020年度予算では、3次に亘る補正予算、一般会計税収の減少によって、新規国債発行額は、過去最大だったリーマンショック時の約52兆円の倍以上となる約112兆円と、過去最大を更新する発行規模となります。今回の国債発行は未曽有の規模にもかかわらず、国会中継を視ていても財政再建について議論をするわけでもなく、この国は大丈夫かと思ってしまいます。財政規律に厳しいEUは2058年までに返済という前提で、新たな税・賦課金を検討しており、ドイツは7年ぶりに25兆円の新規公債発行し、同時に償還計画(2023年から20年間)を決定しています。ちなみに2011年の東日本大震災時の借金については未だに返済が残っており、復興特別所得税という形で2037年までの25年間徴収されることになっています。
それに加えて日本は災害大国であるため、高い確率で大地震が発生することが予測されています。(公社)土木学会のレポートによれば、経済被害と資産被害を合わせた額は首都直下型地震で778兆円、南海トラフ巨大地震で1,410兆円に及ぶとされています。
今般のような感染症の拡大を含め、経済危機、大規模な自然災害などの事態はいつ起こっても不思議ではありません。平時に財政健全化を進めておくことが重要なのですが、現実には東京オリンピックや大阪万博、リニア新幹線の新設や新幹線網の拡充など、机上の経済効果に基づき現役世代、将来世代に借金を付け回すような事業が目白押しです。
日本の医療制度は、国民皆保険を通じて世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現していると言われています。皆保険が維持できているのは、国民医療費43.4兆円(2018年)の9割超を、健康保険料(24.4兆円)と税金(16.5兆円)で賄っているからです。
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