コラム

将来の“かかりつけ医機能”強化につながるオンライン資格確認

2021.5.20|医療政策

3月末に予定していた医療保険のオンライン資格確認の本格導入が「遅くとも10月まで」に延期されましたが、開業医のドクターは既に準備されていますでしょうか。一方、勤務医のドクターにとっては馴染みが薄いかもしれませんので説明します。
医療保険のオンライン資格確認とは、患者の受付時にマイナンバーカードまたは健康保険証を活用して、医療機関や保険薬局がオンライン上で保険資格を即座に確認できる仕組みです。
では医療機関や保険薬局の現場が、具体的にどのように変わるのでしょうか?
大きく2つあります。まず保険証情報の入力作業の効率化及び資格過誤によるレセプト返戻の減少です。
これまでは受付で保険証を受け取り、保険証の記号・番号・氏名・生年月日・住所などをシステムに入力していました。オンライン資格確認を導入した後は下図のように、マイナンバーカードの場合は医療機関システムで最新の保険資格を自動的に取り込めるようになります。健康保険証の場合は記号・番号等の入力は必要ですが、同じように資格情報を取り込むことができるようになり入力の手間が減らせます。その結果、受付時の待ち時間短縮につながりますし、入力ミスによる資格過誤の返戻をなくすことができます。

また患者が転職や退職等をした後に資格を失効した保険証で受診した場合、レセプトの請求後に資格過誤が判明し返戻されました。再請求するための作業は職員の負担になっていましたが、オンライン資格確認を導入すると患者の保険資格を受付時に確認できるようになるため、資格過誤による返戻は確実に削減できるでしょう。
次にマイナンバーカードの場合、本人から同意を取得した上で、患者の特定健診等情報や薬剤情報を閲覧することが可能となります。
特定健診等情報は、令和2年度以降に実施し順次登録された5年間分の情報が閲覧可能になります。薬剤情報は、令和3年9月診療分のレセプト(医科・歯科・調剤・DPC)から抽出を開始し、3年間分の情報が閲覧可能になります。
閲覧は医師・歯科医師・薬剤師等の有資格者に限定され、特定健診等情報は令和3年3月から、薬剤情報は令和3年10月からの予定です。

かかりつけの医療機関は、複数医療機関を受診する患者の情報を集約して把握できるため、診療をしやすくなります。問診を効率的にできれば、患者及び医療従事者
双方の負担は軽減され、対面診療の時間短縮にもつながります。
またかかりつけの医療機関以外、例えば災害時や旅先等において受診する医療機関でも患者の情報を確認することができ、より適切で迅速な検査、診断、治療等の実施が可能になります。なお災害時は、特別措置として、マイナンバーカードによる本人確認ができなくても、薬剤情報の閲覧ができます。
その他の変化としては、来院(来局)前に事前に予約している患者の保険資格の有効性を事前に一括照会することで確認できたり、加入者(患者)から保険者への申請がなくても限度額情報※を取得できたりします。加入者(患者)は限度額以上の医療費を窓口で支払う必要がなくなります。※限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証、特定疾病療養受療証に関する情報オンライン資格確認の導入は義務ではありません。ただかかりつけ患者の服薬管理や健康管理を行いやすくなりますし、将来的には介護保険に関する情報も閲覧できるようになるかもしれません。かかりつけ医機能は、地域包括ケアシステムを構築するために不可欠であるため、診療報酬の点数は重点的に配分されるでしょう。いずれ導入せざるを得なくなりますから、早めに対応されることをお勧めします。
なお厚生労働省の医療機関等向けポータルサイト「オンライン資格確認 導入事例紹介」に手続き等が掲載されていますので、ご参考にしてください。

 

出典:厚生労働省中医協資料より

 

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