医療機関経営をする上で大切な 3つの視点【虫の目、鳥の目、魚の目】
2022.1.20|医療政策
「虫の目、鳥の目、魚の目」という言葉を、一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。
「虫の目」とは、虫のように近くから物事を注意深く見る視点です。医業経営で言えば、日々の現場の状況を観察することです。
「鳥の目」とは、空を飛ぶ鳥のように、物事を高いところから俯瞰する目です。自院を取り巻く状況、具体的には診療圏内の人口や競合先・連携先の医療機関や介護施設の状況などを把握することです。
「魚の目」とは、魚が水の流れに従って泳ぐように、時流を読む目です。医療制度の将来の動向や診療圏内の将来の人口動態の変化などを、想定し早めに準備をしておくことです。
院長には3種類の目が必要ですが、日々忙しい診療現場にいると、鳥の目、魚の目で視る余裕はなくなりがちです。年に1度くらいは、広い視点で時流を読む時間を意識して作ることは大切だと思います。
さて令和2年国勢調査の人口速報集計結果によれば、全国1,719市町村の2020年時点の過去5年間の人口をみると、全体の82.4%で人口が減少し、50.9%は5%以上減少しています。都市部を除けば、人口減少、患者減少は確実に進んでいます。
人口減少が地域に与える影響について、国土交通白書に具体的にまとめられていますので紹介します。
第一に、生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療機関等)の縮小です。
日常生活を送るために必要な各種サービスは、一定の人口規模のうえに成り立っています。例えば、ある市町村に一般病院が80%以上の確率で立地するためには、27,500人以上の人口規模が必要(50%以上の確率で立地するためには5,500人以上の規
模が必要)です。医療機関以外では、郵便局で500人、銀行9,500人、大規模なショッピングセンター92,500人などとなっています。
人口減少によって、こうした生活関連サービスの立地に必要な人口規模を割り込めば、地域からサービス産業の撤退が進み、日々の生活が不便になるおそれがあります。その結果、若者にとって魅力のない街になり、
人口の流出が止まらなくなってしまいます。
第二に、地域コミュニティの機能低下です。
町内会や自治会といった住民組織の担い手が不足し共助機能が低下するほか、地域住民によって構成される消防団の団員数の減少は、地域の防災力を低下させます。また児童・生徒数の減少が進み、学級数の減少、クラスの少人数化が予想され、いずれは学校の統廃合という事態も起こり得ます。
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