コロナ禍の医療現場に求められるデジタルトランスフォーメーション
2021.3.20|医療政策
新型コロナウイルス感染者が病床の逼迫等の理由で入院ができず、自宅療養中にお亡くなりになるといったニュースがセンセーショナルに報じられています。遅ればせながら厚生労働省は、2021年1月28日付けで事務連絡「自宅療養における健康観察の際のパルスオキシメーターの活用について」を出し、都道府県などに活用の検討を要請しました。
もともと各自治体は、疾病を抱えても自宅等の住み慣れた生活の場で療養し、自分らしい生活を続けられるようにするために、在宅医療・介護の提供を行う地域包括ケアシステムの構築を目指してきたはずです。自宅療養者の見守りは、地域共生社会を実現するために、困難を抱えている地域住民を支援する体制構築を考える良い機会なのではないかと考えます。
自宅療養者の場合、医療機関の入院患者や介護施設の入所者、ホテル等療養者と比較して、対面で見守りを行うには移動距離等の制約があります。医師、看護師等の医療職の人数が限られる状況で、効率的、効果的に見守りを行う方法を考えなければなりません。
在宅患者の先進的な見守り事例として、佐賀県鹿島市の社会医療法人祐愛会織田病院の取組を、2020年6月29日付け週刊医学界新聞第3377号に寄稿されている同院の講演資料を引用し紹介します。
同院の診療圏は高齢化が進展し、85歳以上の救急搬送患者、新規入院患者が急増しており、入院患者における85歳以上の割合は年々増加、要介護、認知症の割合が高くなっています。111床しかない病床を回転させるためには、退院前後におけるかかりつけ医や多職種との連携はもちろんのこと、各患者の必要に応じたケアを入院中だけでなく退院後も継続することが不可欠です。
同院では、「治す医療」から「治し支える医療」に転換するために、①安心して自宅へお返しするための院内での仕組みづくり、②退院後もケアを継続できる仕組みづくり、③IoT(いろいろな「モノ」がインターネットを介してつながる仕組み)やAI(人工知能)を使った「在宅見守りシステム」の構築をしています。
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