コラム

会計検査のあらまし 令和4年会計検査院年報(令和5年3月発行)

2024.1.20|その他

上場している株式会社の場合、株主などのステークホルダーは決算内容を重要視します。一方で、国などの政治、行政の場合はどうでしょうか?

行政は税金を財源にして運営されているわけですから、納税者としては当然に税金が適切に使用されたかどうかについて知っておく必要があるでしょう。しかし実態は、政治家やマスコミは予算編成に比べて決算内容への関心は格段に低く、国民の関心も喚起されません。

最悪なのは国会です。衆議院・参議院の各予算委員会は他の委員会と異なりテレビ中継が入ることが多く、与野党の政争の場となっています。予算内容そっちのけで政治家の汚職やスキャンダルなどを追及することに注力し、肝心の予算審議が十分にされているとはとても思えません。決算に至っては、取り上げられないままに審議が終わることがほとんどです。

国民、納税者にとって拠り所となるのは、会計検査院です。国会及び裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する職責を果たしています。

実際に2020年11月の検査報告では、全世帯向けに配布した「アベノマスク」を巡り、不良品の検品費用(約21億4,800万円)、流通や配布方針の変更で8,000万枚余が倉庫に保管された費用(約6億円)の無駄を指摘しています。報告時点では安倍前首相は存命中であり影響力はあったと思いますが、忖度のない報告をしていました。

令和4年度決算検査報告によれば、不当な支出や改善が必要だと指摘された金額は、333件合わせて580億円余りに上ります。このうち新型コロナ対策関連では、9省庁などが行った事業で87件、220億円余りになります。

検査報告の内容は行政文書でとっつきにくいのですが、その内容を図や写真などを用いて簡潔に記述した「会計検査のあらまし」は一般の国民でもわかりやすくなっています。

例えばコロナ禍で病床の確保のために病院に交付金が出されましたが、下図のように不当事項(法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項)として、詳細が説明されています。

また新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等については、下表のように指摘しており、厚生労働省の事業執行体制の杜撰さがわかります。

厚生労働省の責任は国会等で追及されるべきですが、新型コロナ対策については厚生労働省の業務負担が過大になり、体制整備ができなかったことは容易に想像できます。他省庁や政府機
関からの人員の応援を含め、こういう時こそ政治主導で行政を機能させる必要があったのだと思
います。

会計検査院は本来ならば目立たないほうが良いのですが、長らく続く政府の税金の無駄遣いの状況をみていると、もっと脚光を浴びるべき行政機関のように思います。

 

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