コラム

クリニックが盛業した後の一手は?

2023.9.20|その他

皆さん、こんにちは。ジーネット㈱代表取締役の小野勝広です。今回は「クリニックが盛業した後の一手は?」と題しまして、クリニックの将来像について考察いたします。

 

さて、たまたまではあるのですが、弊社がここ2~3年の間にクリニックの開業をお手伝いした複数の院長先生より立て続けにご連絡をいただきました。

当然、その現状やプロセスには多少の違いがあるのですが、共通していたのは「分院展開」を検討したいということでした。リスクを負って新規開業をして、順調に患者さんが増えてきて、経営状態も盤石となり、次なる一手を検討する。素晴らしい展開だと思います。

また、より多くの患者さんを診察できるように二診体制を確立した院長先生や、ご自身の診療科目と関連のある別の診療科目のドクターを招聘し、新たな患者層の獲得に動いた院長先生もいらっしゃいます。

もちろん来院患者さんが増えて、地域のニーズを見極めることができたからこそ、ではありますが、やはりご自分のクリニックを作ろうと一大決心をした先生は、最初の段階で成功を収めたこともあり、次の展開にも積極的です。

 

この盛業後の次の一手は、他にも様々考えられますね。医療法人化が前提にはなりますが分院展開の準備、二診体制、診療科目の拡大以外にも、私の知る限りの事業拡大の新展開として、自由診療への進出、介護系施設の新設、医療介護とは別のビジネス展開。また場合によってはMS法人や株式会社の設立や、ボランティア組織を作ったり、行政との連携による多店舗多角的な展開を進めたり、と実に多彩な事例があります。

ただ、ここで注意すべき点もあります。まずは保険診療という本業を蔑ろにしないということですね。当たり前のことではありますが、新規事業を進める中で、時間や手間が掛かり、本業を軽視するのは大問題です。あくまでも本業があってこその新規事業ですから、常に念頭に置いておくのがいいですね。

次にリスクです。最初にクリニックを開院する時にもリスクはありました。ひとつ間違えれば患者さんが一向に来ずに、閉院に追い込まれるという可能性はあったわけです。そのリスクを乗り越えて成功を収めたわけですが、新規事業にもリスクはあります。「もし・万が一」に対する備えは絶対にしておきましょう。

もうひとつは「きれいなバラには棘がある」ではないですが、上手い話にはだいたい「裏」があるものです。もし外部からきた話であれば、それは慎重に吟味する必要があります。オイシイと思った話に安易に乗っかって本業に悪影響を及ぼしたという事例は枚挙に暇がありません。

 

先生方は医療や介護の領域であれば豊富な経験をお持ちですが、ビジネス展開などの場合は余程信頼できるパートナーとタッグを組まないと、想定外の事態に巻き込まれかねません。世の中には悪い人間も少なくありませんし、こういう輩ほど笑顔で近づき、オイシイ話を持ちかけます。私どもが主業務としている医師の転職支援とクリニックの開業支援でも、昨今では、全く経験、実績のない企業の新規参入が相次いでおり、サービスの「質」が下がる一方で、トラブルも増えています。金儲けがしたいだけの企業と、良質なサービス提供ができる企業を、是非ともきちんと見極めていただきたいなと思います。

もし自分だけで見極められない場合は、100%の信頼が置けるビジネスパーソンや、弁護士、税理士などにも「事前」にご相談ください。

 

最後に最もポピュラーな分院展開についてです。これだけはお伝えしておきたいというのは、分院展開は「ドクターありき」であるということです。逆に言うと、物件を決めて内装工事を入れて、あとは医師を招聘するだけという展開は失敗する可能性が大です。

ドクターが決まらず家賃をずっと払い続けていたり、面接に来たドクターに足元を見られて当初予定よりもずっと高給で採用したり、挙句の果てには難癖付けられて早期退職をされてしまい、再度の採用活動に動いたり…などですね。

全然知らない医師ではなく、診療スタイルや人柄を良く知っている先生のほうが望ましいと思うのです。この先生と一緒にやりたい…が理想ですね。ということは、分院展開をする前に、定期非常勤医師を採用するのもひとつの手です。

実際に分院展開が上手くいっている医療法人は「ドクターありき」で動かれたケースが多いです。もちろんレアケースでは偶然の成功事例もあるでしょうけど、失敗しないために、成功確率を高めるために、「ドクターありき」をお勧めします。

 

今までお話ししてきました通り、盛業後の一手の選択肢は多いですが、もう一度最初のクリニックを作る前のお気持ちを思い出して、慎重には慎重を期し、本当にご自身がやりたいことなのかどうかを問うて、その上でご決断するのが良いですね。

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