コラム

高齢男性中心、多様化進まず課題を先延ばし続ける日本の国会

2023.7.20|その他

4月に発生した和歌山県での選挙応援中の岸田文雄首相に対する爆発物襲撃事件。威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された24歳の無職の容疑者に関して、共同通信によれば、昨年、参院選の被選挙権年齢制限などを違憲だとして本人訴訟で提訴していたことや、同容疑者のものとみられるツイッターに「岸田首相も世襲3世」などの投稿があったことが判明しています。

テロ行為は決して許されるものではないですが、安倍元首相の銃撃事件も含めて政治に対する不満が静かに高まっているように感じます。不祥事を起こしても全く説明をしないで逃げ回り居座り続ける国会議員や、問題発言をしても撤回すれば許されると思っている国会議員など、一般社会では通用しないことが国権の最高機関にもかかわらず許容されています。政治家個人や政党に自浄作用がないことに対して、国民が不満を持つのは当然でしょう。

国会議員は主権者である国民の信託を受け、全国民を代表して国政の審議に当たる重要な職責を担っていますが、国会議員の属性を調べると、国民全体の属性と大きな隔たりがあります。

内閣府男女共同参画局調べによれば、男女比は84%:16%、平均年齢は男性:57.6歳、女性:55.1歳です。

2022年3月時点での衆議院議員の出身業種は政治とお金.comによれば、地方議員・首長119人(25.5%)※、国家公務員68人(14.6%)、民間企業61人(13.1%)、議員秘書45人(9.6%)、マスメディア37人(8.0%)、金融関係31人(6.6%)、士業(弁護士など)24人(5.1%)などです。
※( )内の%は465議席に占める割合

平均年齢50代後半の男性、地方議員・秘書や公務員の出身割合が半数というような国会議員の属性をみると、日本が取り組むべきイノベーションやデジタル・トランスフォーメーションなどを強力に推進できるようには、とても思えません。5年前に当時68歳・男性のサイバーセキュリティ担当大臣が、東京五輪に向けたサイバー攻撃対策に関する質疑で、パソコンを使ったことが1度もないと発言したことがありましたが、驚き呆れてしまいます。

また「永田町の常識は世間の非常識」と言われていますが、世襲議員の増加は世間の常識を知らない政治家を生み出し続けている可能性があります。首相経験者(下表の赤文字)の一族をみると、選挙区は地方にありながら、承継者のほとんどが生まれも育ちも東京の一等地で私立一貫校卒というように、世間一般から見れば非常に特殊な環境で育っており、非常識が承継されている可能性が高そうです。

国会を変えるためには、選挙制度を変更する必要があるでしょう。まずは若返りをするために、被選挙権年齢を下げることです。現状では衆議院が25歳以上、参議院が30歳以上と規定されていますが、経済協力開発機構(OECD)の加盟36カ国では、「18歳」が21カ国(58.3%)で過半数を占めています。

日本では2015年6月に公職選挙法が改正され、選挙権年齢が20歳から18歳へ引下げられましたが、被選挙権年齢の引下げは進んでいません。産経新聞の記事によれば2022年の参院選で、野党は年齢引下げを主張していましたが、男性の高齢者が幅を利かす自民党の公約には記載はありませんでした。

「FPと考えるマネープラン」に記載しているような日本銀行の債務超過、円安・インフレ、国債の発行が困難になることによる緊縮財政・大幅増税などを否が応でも実施しなければならない状況になれば、政権交代が起こり被選挙権年齢の引下げが実施されるかもしれません。期待したいような、したくないような複雑な心境です。

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