コラム

預金より高金利で 金利上昇が期待できる 変動金利型「個人向け国債」

2022.7.20|マネー

総務省が5月10日に発表した2021年の家計調査報告によると、2人以上の世帯の平均貯蓄は前年比5.0%増の1,880万円で3年連続増加しています。貯蓄額の内訳は、定期預金が1.3%増の615万円、普通預金が5.0%増の584万円、生命保険などが横ばいの357万円、株式などの有価証券が22.9%増の295万円になっています。
預金の割合が64%を占めていますが、6月1日時点の大手銀行の定期預金の金利は年0.002%、普通預金は年0.001%しかありません。仮に100万円を10年の定期預金
にした場合、利子はたったの200円(税引前)です。
一方でウクライナ情勢や日米金利差による円安の影響で、物価上昇はしばらく続きそうなため、仮に政府や日本銀行が目指す物価上昇率である年2.0%が実現した場合は、現在100万円の価格で買えるものが、10年後には約122万円になります。
これまで物価が下がるデフレの時代が長く続いていたため、たとえ金利が低くても預金中心で支障はなかったのですが、インフレを前提にした場合は事情が異なってきます。

インフレ時代には“投資をしないリスク”があります。これまで忙しい医師には、投資信託を活用した長期・積立・分散投資を勧めてきました。一気に投資するのではなく、長期に積立をする場合は余裕資金ができます。その資金を定期預金に預けていては運用効率が悪くなるため、個人向け国債で運用することをお勧めします。
国債は国が発行する債券です。財政悪化で日本の国債の格付けは先進国の中で低くなっていますが、消費税等の税率の大幅引き上げなどをすれば、おそらく返済可能なため破綻をするリスクはかなり低いでしょう。
個人向け国債は財務省が発行しており、図表のように固定金利型の3年満期と5年満期、変動金利型10年満期の3タイプがあります。最低1万円から 購入が可能で、最低金利は年0.05%と定められています。2016年に日銀がマイナス金利を導入して以降は、金利は年0.05%に張り付いたままでしたが、世界的なインフレ圧力の高まりで日本の国債市場も金利が上がり、変動10年タイプの金利は22年1月募集分の場合は年0.07%、その後は2月0.11%、3月0.12%、4月0.13%、5月0.17%と上昇しています。ちなみに固定金利型の3年満期と5年満期は、年0.05%のままです。

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