コラム

証券会社が宣伝している 「ファンドラップ」はお得なのか?

2022.1.20|マネー

「忙しいドクターの資産運用の王道は分散投資」であり、分散投資をするための代表的な金融商品として投資信託の選び方や購入の仕方について説明してきました。
ただ「どの投資信託が良いのか選ぶのは面倒。専門家に任せたい。」と考える方が多いのではないかと想像します。そのような方のために、金融機関は『ファンドラップ』というお任せ運用の商品を積極的に販売しています。大手の証券会社や銀行に加えて、中小の証券会社や地方銀行などでも販売されるようになり、投資残高は図表Aのように増加の一途です。

ファンドとは「基金」の意味で、多数の人から資金を募り、それで投資などを行う集団投資スキームを指しますが、一般的には投資信託の意味合いで用いられます。ラップは包むことで、『ファンドラップ』は顧客の資産運用の考え方に基づいて、複数の投資信託を組み合わせて、運用、管理を行うサービスです。

お任せ運用とは、「投資一任契約」をし、投資の権限を金融機関に委託します。最初に運用目的やリスク許容度、ライフプランに基づいた目標などを確認され、運用方針の合意をすれば、その後の運用はお任せになります。後は定期的に運用の結果報告を受けるだけなので、楽に運用ができます。

ただ一方で、ファンドラップにはいくつかの課題があります。

1つ目は、運用成績が相対的に悪いということです。
その大きな要因は、ファンドラップの顧客が負担するコストが高いことです。ファンドラップ手数料の他に、投資一任受任料や、組入れ対象ファンドの信託報酬があり(図表B)、コスト控除後の平均パフォーマンスは、バランス型の投資信託*の平均と比べて総じて劣後(図表C)しています。

*複数の資産や市場へバランス良く投資する投資信託のこと。例えば株式と債券、国内と海外といった異なる資産や市場で運用する。

2つ目は情報開示が少ないことです。
そのため顧客がどの金融機関でファンドラップを契約するのが良いのか迷っても、比較して判断するのは難しい状況です。
そもそも商品を説明する資料について、大きく表示されている部分はファンドラップ手数料や投資一任受任料だけで、その他の投資信託の信託報酬や解約時手数料などはラップの仕方で変わってくるため、事前にはわかりません。販売する金融機関によっては、楽に投資ができるというメリットを強調するだけで、コストについてあえて詳細な説明をしない可能性があるため、注意が必要です。

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