クリニックの開業最新事情 2024年版
2024.1.20|医療経営
皆さん、こんにちは。ジーネット㈱代表取締役の小野勝広です。今回は「クリニックの開業最新事情2024年版」と題しまして、2024年最初のコラムをスタート致します。
コロナが落ち着いてきて、クリニックの開業を目指す医師は増加傾向にあると感じます。実際、弊社にも開業のご相談が増えております。
しかし日本の医療業界全体を考えると猫も杓子も開業では困るわけで、また開業しても経営が上手く行かないと先生ご自身も困ってしまいます。開業医になるということは、経営者になるということでもありますので、経営に不向きな先生は開業しないという判断があっても良いと思います。
日本の医師数は約34万人と言われ、そのうち約70%の23万8,000人が勤務医であり、開業医は約30%、10万2,000人です。このバランスが適切なのかは議論の余地がありますが、開業志向を持つ先生が増えている、動き出しているという点は間違いないと思います。
逆に言うと、自分は経営には向かない、経営資源のマネジメントが苦手だという先生もいらっしゃり、こういう先生は弊社に転職相談、キャリア相談というかたちでお声掛けいただくことが多いです。転職、開業の両方をサポートする弊社だからわかる肌感覚のようなものもあるのですね。
さて、2024年の始まりとともに、今年のクリニック開業を考えた場合に、私は次の3点が大きなポイントになると考えています。
一つは「クリニックのコンセプトやプランが最重要」ということ。どんなクリニックを作りたいのか? どんな患者さんに来院して欲しいのか? 開業地はどこにするのか? 患者さんにどんなクリニックと思われたいのか? どんな診療をしたいのか? いつ開院するのか? このような全体像をある程度は明確にしておくということです。
なかには成功したクリニックをそっくり真似しようとしたり、流行りのクリニックを机上の空論で目指したり、収支や利益を優先し過ぎていたりして実情からかけ離れている場合もあります。これでは想定外のことを引き寄せかねませんので、リアルなデータを中心に他院との差別化ポイントを考えながら、コンセプトやプランを検討なさるのが良いですね。
二つ目は「サステナビリティを考える」ということ。これはコンセプトやプランもそうですし、開業地、開業物件、また集患マーケティングやスタッフ採用にも通じる重要なポイントです。
もちろん早期に事業を軌道に乗せて、高収益クリニックを作り、資産を貯めて、売却するという展開もあって良いでしょうし、それを否定するつもりはありませんが、多くの場合のクリニック開業は、地域に根差したクリニック、地元の患者さんに頼りにされるクリニックを永続的に目指すケースが多いと思います。
むしろこの中長期的な視点が、繁盛クリニックの原点になるのでしょうし、あらゆる経営判断の基礎となるのではないでしょうか。これからの時代は、どう持続可能なクリニックにするかという観点が大きく問われることでしょう。
最後の三つ目は「開業準備におけるパートナー選び」が益々重要になっていくと思われます。最近、経験値の低い開業コンサルタントが増えていますし、なかには自社の利益を優先して医師をミスリードするような輩まで出てきています。
どんな開業コンサルタントを選ぶのか?は、開業を失敗させないために欠かせない決断のポイントです。適切なコンセプトやプランを見出すためにも、初期投資を抑えるためにも、そして、間違いのない開業準備をするためにも、経験豊富で、なおかつ経営目線を持った開業コンサルタントの存在は頼もしい限りです。
間違っても、安いとか、会社が大きいとか、そういう表層的なところで選ぶことのなきよう、数名のコンサルからじっくりと話を聞いて、判断するのが良いと思います。
以上の3点に加えて、今年のトレンドとしては、「医療DX化」への取組。これは予約、問診、受付、会計の効率化でありますし、大事なポイントです。また「新たな集患マーケティングのあくなき追求」も必須となりそうです。5年前の集患対策と同じでは生き残りが不安です。とはいえお金を掛ければ良いというものでもなく、やはり時流に合った策やコスパを考えながら実行するのが良いですね。
最後にもう一つだけ述べておきたいのは、クリニックの開業の成功、つまりゴールは一つではないということです。個々それぞれに相応しいゴールがあるはずです。それが見えないと収益至上主義になりかねませんから、自分のクリニックにとってのゴールを模索し続けるのも必要不可欠ではないでしょうか?
2024年のクリニック開業は厳しさを増すでしょう。
だからこそ自院らしく、事前に手を打つことが肝要であると考えています。