チーム医療と地域包括ケアを機能させるためのフォロワーシップ
2024.1.20|医療経営
リーダーシップの対となるスキルとしてフォロワーシップがあります。フォロワーシップとはリーダーを支え、チームの目標達成に貢献する能力です。
医療機関においては、ドクターの指示のもと、看護師や歯科衛生士などの様々な職種が患者対応を行っています。ドクターは常に他職種に支えられているとも言えます。ドクター自身も含め、職員にフォロワーシップが定着していれば、現場のコミュニケーションがスムーズになり、問題解決が迅速かつ効率的にできるのではないでしょうか。
フォロワーシップは、以下の6つの要素に分解することができます。
① リーダーの指示を理解し、実行する能力
② チームの目標を理解し、自分の役割を果たす能力
③ チームメンバーと協力して、目標を達成する能力
④ 自分の意見や考えを主張する能力
⑤ リーダーにフィードバックをする能力
⑥ チームの課題を解決する能力
1~3番目の能力を「貢献力」、4~5番目の能力を「批判力」として、貢献力と批判力の有無の組合せで、図のようにフォロワーシップを5つにタイプ分けできます。

出典:㈱chipperのWebsite「組織グロースのために必要なフォロワーシップとその醸成方法」の図を筆者が一部改変
貢献力、批判力ともに高いタイプは、模範型フォロワーシップ(協働者)です。リーダーに対して主体的に提案・発言することはもちろん、決定した施策を実行していくことにも貢献してくれます。場合によってはリーダー役を務めることもでき、組織全体を見ながら必要に応じて積極的に意見を述べ行動できる理想的なフォロワータイプです。
批判力は高く、貢献力の低いタイプは、孤立型フォロワーシップ(破壊者)です。リーダーや組織の他の人の方針や行動に対して自分の意見をずけずけと言うタイプなので、誤解を招きかねず組織内で浮いてしまう可能性があります。ただほとんどの職員はリーダーに逆らわないタイプであるため、率直な意見を言ってくれる点で貴重な存在ではあります。当人を活かせるかどうかは、リーダーの度量次第でしょう。
批判はしないで、積極的に貢献をしてくれるタイプは、順応型フォロワーシップ(従事者)です。リーダーに対して服従し順応することを第一に考える傾向があります。職務をきっちり果たし、い
ちいち監視したり説明したりする必要がなく、気が利き頼りにもなる存在です。ただリーダーが誤った判断をしても警告を発することはなく、リーダーにはねつけられるとあっさり諦めてしまいま
す。多くのリーダーにとってやりやすい存在ではありますが、リーダー個人としてもチームとしても発展していくことを望むのであれば、自分に対して、時に耳の痛いフィードバックであったり、少々面倒と感じるような提案をしてくれたりするフォロワーの存在は必要でしょう。
批判もせず、貢献もしないタイプは、消極的フォロワーシップ(逃避者)です。このタイプはリーダーの指示に従うことを主とし、進んで思考することを嫌がり、組織目標の達成に向けた貢献は期
待できません。
中立的な立場を貫くフォロワータイプは、実務的フォロワーシップ(実践者)です。このタイプは、組織やチームの日常業務において重要な役割を果たします。リーダーの指導を受けながらも、自らの役割や責任を適切に果たし、組織の目標達成に向けて実践的な取組を行います。
ご自身と一緒に働くメンバーを見渡してみて、いかがでしょうか?
リーダーは得てして自分可愛さで、優秀過ぎる協働者タイプを排除し、破壊者の声に耳を傾けず、自らが御しやすい従事者タイプばかりで周りを固めてしまいがちで、組織の成長が止まってし
まう可能性があります。
2016年度の診療報酬改定の基本方針で、複合的な慢性疾患を有する高齢患者の増加などの疾病構造の変化を受けて、「治す医療」から「治し、支える医療」へのシフトが示されました。医師は
地域包括ケアシステムの中心となる「かかりつけ医」として、地域住民に寄り添い信頼される存在となることが求められます。そのためには、リーダーシップとフォロワーシップの両方が必要です。
具体的には、医師は地域包括ケアシステムの中で、多職種連携や水平連携を促進し、在宅医療や介護等を提供するためのリーダーシップを発揮することが求められます。その上で他の医療従事者や介護従事者からの意見や提案を受け入れ、協働して地域住民のニーズに応えるためのフォロワーシップも発揮することが求められます。
医師はリーダーシップとフォロワーシップをバランスよく発揮しなければならないため、フォロワーシップについても理解しておく必要があるでしょう。