コラム

三方よしの考えを活かした経営

2020.3.20|医療経営

医療機関は地域医療を支える社会の公器であり、長期的に安定した経営を続けるためには地域社会からの支持が不可欠との考えに、医療機関の経営者の先生方ならば同意されるのではないでしょうか。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三つの「よし」、「三方よし」は売り手と買い手がともに満足し、社会貢献もできるのが良い商売であるという、近江商人の心得です。
近江商人とは、行商で全国を飛び回っていた近江(現在の滋賀県)出身の商人のことです。近江が幕府の直轄地となった江戸時代中期以降に、全国的規模で広範にビジネス活動を行い、現在もトヨタ、伊藤忠、高島屋、日本生命、ワコールなどは、近江商人に起源をもつ老舗企業と言われています。近江商人の行商においては、旅先の人々の信頼を得ることが大切でした。自領を拠点としないからこそ、自分たちだけでなく他国の人の利益をも大事にする、そのための心得として説かれたのが「三方よし」です。
「三方よし」の教えを、現代の医療機関経営に当てはめてみましょう。

「売り手よし」

医療機関の利益が上がる、職員満足度が高い
「売り手」というのは、医療機関です。売り手にとって「良いこと」とは、今も昔ももちろん「商売で利益が上がること」。しかしそれだけではないでしょう。働いている職員にとって満足度の高い職場であるかどうかも大切なポイントです。
医療の仕事は、患者さん・ご家族の幸福に貢献する人の役に立つ仕事であり、役に立っているという実感がもてるやりがいのある仕事です。他の業種と比較すると満足度が高まる基盤がもともとありますが、競合する医療機関と比べてより優れた人材を採用するためには、職員満足度を高める必要があります。給料や労働時間などの条件はもちろん大切ですが、医療機関に勤める医療職の人たちは、一般の会社の社員と比べて、専門職としての自らの成長を具体的に考えている方々が多いように感じます。個々人の目標の達成に向けて組織として積極的にサポートする、例えば各専門職の本業以外の雑務等は作業補助者に任せられるようにする、他部門や他の専門職に相談しやすい風通しの良い職場にする、院内外の研修に参加しやすい環境を整えることなどは大切になってくるでしょう。

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