コラム

患者減少時代に備えるための 経営分析

2020.9.20|医療経営

新型コロナウイルスの影響による患者数減少によって月次で赤字に陥ってしまった医療機関は、黒字化に向けて様々な対策を講じられていると思います。ただ黒字にするためには、どのくらいの患者数の確保が必要なのか把握されていらっしゃるでしょうか?
本号では将来的な患者減少時代に備え、医療機関として存続するための経営分析の手法について解説します。

「利益が出るか、損失になるか」の分岐点、つまり「収支トントン」となるポイントのことを損益分岐点といいます。
計算の仕方ですが、まず費用を変動費と固定費に分類します。ただ損益計算書をみても、費用が変動費と固定費で分けて記載されているわけではありません。変動費とは、売上高(延べ患者数×患者1人1日あたり診療単価(以下、患者単価))に比例して増える費用のことです。例えば、医薬品や医療消耗品などの購入費用や血液検査の委託費は、患者が増えればその分だけ増えるため、変動費に該当します。一方、固定費とは、売上高の増加に関係なく一定額発生する費用です。例えば、職員の給料や賃料、医療機器等のリース料などが固定費になります。
売上高と費用が同額となる損益分岐点の売上高の計算方法は以下の通りです。

では参考までに、医療経済実態調査(令和元年実施)の医療法人立内科無床診療所の損益計算書の数値を使って、損益分岐点売上高を計算してみましょう。
売上高は、医業収益と介護収益の合計で、155,405千円。変動費は、医薬品費と材料費と委託費とすると、33,770千円になります。実際には、各々の勘定科目の内容を細かく調べ、給与費でも時間外手当やパート従業員給与は変動費とみなしたりするなどしますが、今回は概算額を算出します。
損益分岐点売上高=(146,253-33,770)/(1-33,770/155,405)=143,712千円

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