非常勤で働く? 非常勤医師を雇用する?
2021.9.20|ライフプラン
皆さん、こんにちは。ジーネット㈱代表取締役の小野勝広です。今回は非常勤医師について、働き手と雇い手の両サイドから考えてまいります。
多くの方がご承知のように、新型コロナが蔓延して以降、多くの病院・クリニックで患者数が減少し、定期非常勤の医師を削減するところが増えました。蔓延から1年以上が過ぎて、現状はどうなったでしょうか?
私の実感としては、コロナ前の状況には到底戻っておらず、非常勤の求人数自体もかなり少ない状況が続いています。
ではこの状態をどう受け止め、どう考えるか?まず定期非常勤で働く医師については、昨今ではコロナのワクチン接種のアルバイトが巷で人気を得ています。これは期間限定のアルバイトにはなりますが、報酬の高い仕事が多く、社会的な意義もありますので、しばらくはワクチン接種のアルバイトをするのも良いと思います。
ただ中長期的には終息していきますので、しばらくはワクチン接種のアルバイトでしのぎ、その後の安定した定期非常勤を探しましょう。
現状では定期非常勤の求人数はまだまだ少ないようですが、今後少しずつ改善していくと思われます。しかし以前のように非常勤、スポットのアルバイト求人が多数あり、高条件で医師の気を惹こうとするような展開になるか?と問われると、そこまでにはならないかもしれないと私は危惧しています。
そもそも常勤医師の負担を軽減するために非常勤医師を採用してきた医療機関において、ある種のバッファのような形で役割を果たしてきたのが非常勤医師です。しかし経営的に費用対効果を厳しくみざるを得なくなり、また患者数や患者層、診療方針などを変えざるを得なくなり、仮に非常勤医師の募集をするにしても以前とは異なる求人内容にしていたりします。
私の感覚ですと、訪問診療のアルバイトはコロナ禍において非常勤求人があり、一方で外来や内視鏡検査などはまだ少ないように感じます。ただし、地域によっては既にほとんど影響がなくなっているとも伺います。
今後は、非常勤での仕事とはいえ、自分の専門性を活かすか、本気で学びたい業務であるか、など、単なる収入アップのための仕事ではなく、明確な目的を持った非常勤先を探すのが良いでしょう。事実、特殊な技能が必要なケースでは、現状でも非常勤の求人もすんなり決まっているようです。
それでは逆に定期非常勤の医師を採用する側の医療機関はどうでしょうか?
今までの圧倒的な売り手市場から買い手市場に変わったわけですから、日給や時給が少し下がっても応募する医師がいるかもしれません。故に確かに採用のチャンスと言えるでしょう。
しかし最重要なのは、医療機関として費用対効果をしっかり検討することです。単なる売上だけの問題ではなく、地域の患者ニーズに応えることができるのならば、中長期的な戦略として有効となることもあるでしょうから、ここは医療機関経営者としての判断のしどころです。
ただここで問題提起をしたいと思います。
今後、医師の働き方改革によって長時間労働に規制が掛けられる予定です。これ自体は過重労働を避けて、適正な労務管理をするわけですから、基本的には歓迎できます。
ところが今まで常勤での勤務に加えて、更に稼ぎたいとアルバイトをしてきた先生にとっては、合算での労務管理は、稼ぐ場を失うことになり得ます。これは常勤が臨床現場であればまだしも、大学院に在籍していたり、症例経験は積めるけれども比較的安価な給与の医療機関にお勤めだったりすると、生活が成り立たないようなケースも出てくるでしょう。
単に時間外労働の上限規制だけでなく、医師の生活設計を鑑みて、特例を設けるなどの処置が必要ではないかと考えます。
非常勤医師と言っても、みな同じ境遇ではありません。事情があってフリーランス的に非常勤での勤務をするケースもあれば、あくまでも常勤を中心として小遣い稼ぎで非常勤先を持つケースもあり、また現所属先からの給与だけでは生活が成り立たず、致し方なく非常勤で仕事をするケースもあるでしょう。
キャリア設計としては、常勤+定期非常勤とか、常勤+スポット非常勤という働き方は、パラレルキャリアの推進として価値はありますが、生活は最優先ですから、ある種の柔軟性は制度に内包すべきと思います。
また今まで以上に常勤医師を重宝するような展開も考えられますから、今後の採用マーケットを見極めていく必要がありそうです。私自身、今後も非常勤の動向も注視してまいります。