コラム

歯科診療所に来ない顧客を引き寄せるには? 後編(2)

2024.3.20|歯科経営

歯科診療所に行かない理由1位が「苦手※」、ほぼ同数の2位が「面倒」。2位の「面倒」を深掘りした質問に対する回答(n=1,107)は、「予定を調整して、予約するのが面倒」(434票 39.2%)が1位でした。※「苦手」への歯科診療所の対応については、2023年11月号を参照ください。

予約の面倒さをなくすために、そもそも予約をなくしている歯科診療所も少なからず存在します。

該当する診療所のホームページには、以下のような説明が目立つように掲載されています。

 

「多くの歯科医院は予約制での診療をされています。・・・当院は予約制をとっておりません。初診は予約なしで随時受付可能ですし、2回目以降は治療終了時に次回来院して欲しい期間を提示いたしますので(例:1週間から2週間の間等)その間で可能な時間に来院いただければ結構です。」「いつ痛くなるかわからない歯の状態に対して、痛くなったらすぐに来院してもらえるように、という考えを優先して予約なしの方針を通しています。・・・場合によってはお待ちいただくこともありますが、痛くなったらすぐに、詰め物や被せものが取れたらすぐに診療できるようにしています。もし、頻繁に来ていただける方であれば、トータルの治療期間が短くなるというメリットもあります。予約制でないことは患者さんにとって利便性が高いと考えています。」

歯科診療所のタイプを表のように4分類すると、「かかりつけ型」の診療所の場合、“予約不要”は他院と差別化する大きな要素のひとつにはなるでしょう。

歯科の常識では予約制が普通だと思いますが、内科に限らず医科の診療所の場合は初診で予約するケースはほとんどありません。歯科の未顧客からすると、医療機関にかかる場合に予約制が普通ではないのです。

歯科診療所に行かない未顧客が、歯科診療所に仕方なく行くのは、歯が痛くなったり、過去の治療の被せ物や詰め物が取れたりしたときでしょう。ほとんどの歯科診療所は、患者から「歯が痛む」という電話連絡が入れば、状況を確認し当日も含めてできる限り早く診るように診察スケジュールを調整すると思います。

ただ患者が歯科診療所をインターネットで探す際に、“予約が不要の歯科診療所”との文言を見つければ、電話をせずに直接受診をするかもしれません。

モビルス株式会社の「お客さま窓口の利用実態調査2022」によると、企業等のお客さま窓口に問い合わせる際に最もよく使う手段は電話の32.4%ですが、電話以外の方法を選ぶ人が徐々に増加しているようです。

チャットで問い合わせをした経験がある人は7割以上で、年齢層別では20~30代は8割以上と最も高くなっています。SNSやメールなどの非対面コミュニケーションに慣れ親しんでいる若い層の人たちの中には、電話が苦手になっていたり抵抗感をもっていたりする人もいるようです。

また「予約が面倒」の中には、電話がつながる診療時間まで待たないと連絡がつけられないことも入るでしょう。

一方で予約制ではない場合は、時間帯によって患者の待ち時間が長くなり、その結果として待合室の椅子が足りなくなったり、駐車場が満車になったりする可能性があります。

理想は広い駐車場に、ゆったりとした待合室を備え、診療ユニットを多く配置して複数の歯科医が対応し、歯石除去やフッ素塗布などについては複数の歯科衛生士が行うことで回転を良くする形態ですが、郊外など地価が低いところでなければ難しそうです。ただ小規模な歯科診療所でも、医科の診療所がしているように、スマートフォンで「現在の待ち状況 〇人待ち、約△△分」とリアルタイムで確認できるようにしたり、曜日・時間帯別の混雑度の目安を知らせたりするなどの工夫をすることで、できないことはないように思われます。

とは言え予約不要にするのは運営上のハードルが高いため、できることとして患者が予約をしやすくする工夫、例えば24時間のネット予約を可能にすることは考えられます。

最後に、予約制の有無などを調べるために多くの歯科診療所のホームページを見ましたが、それぞれの特長や治療方針などは記載されていても、急な歯痛や詰め物が取れた場合の対応など患者視点の説明が不足しているように感じました。

特にかかりつけ型の歯科診療所は、様々な患者のニーズに対応できることをアピールするために、患者やその家族、連携先の医療機関、介護事業者、高齢者施設等の困り事の解決を手助けする視点で、ホームページの掲載内容を充実させてはいかがでしょうか。

一覧へ戻る