歯科医院に来ない顧客を 引き寄せるには? 後編(1)
2023.11.20|歯科経営
7月号で自院に来ない顧客=未顧客の「不満」「不安」「不足」「不便」「不快」について説明しました。本号では、未顧客である健診非受診者を顧客にするための「不」の解消について説明します。
まず歯科健診に行っていない理由の一番は、歯医者は「苦手」が1位でした。「苦手」の理由は、「痛いのがいや」が1位で「音がいや」が2位。おそらく歯の健康を意識していない人ほど、歯科健診を受ける➡悪いところが見つかる➡歯の治療が必要になる➡痛い目に合うというような「不安」「不快」な想像が働くのではないでしょうか。
当会で調べた限り※ですが、「痛いのがいや」「音がいや」について、その「不安」「不快」を和らげるために自院で取り組んでいる内容について、Websiteで詳しく説明している歯科医院は少数でした。
※「中央区 歯科医院」でGoogle検索して表示された東京都中央区所在の20軒の歯科医院のWebsiteをチェック(2023年9月15日時点)。以下記載の当会調査も同様。
ある歯科医院は、麻酔時の痛みを最小限にする方法として、カートリッジウォーマーを用いて麻酔液を最も痛みの少ない温度に温めておく、表面麻酔の使用、できるだけリラックスできるような声かけをする、歯科で最も細い35ゲージの針を使用、粘膜にテンションをかけて一瞬で刺入する、麻酔液を入れるスピードをコントロール(電動麻酔器なども使用)と説明しています。
ここまで実施していなくても、できる範囲の工夫をしている医院は多いのではないでしょうか。未顧客の人たちは、歯が痛くなったり、過去の治療の被せ物や詰め物が取れたりしない限り、受診することはありません。歯科医の治療に対するイメージは、過去の記憶に基づきます。その後の治療方法の変化や電動麻酔器などの治療器具の進化は知る由もありません。「音がいや」についても、音や痛みを小さくする器具を使用している医院もあると思いますが、発信しなければ伝わりません。
他にも歯科健診に行っていない理由としてあげられていたのは、「歯科健診の内容がよくわからない」ということです。前回紹介しましたライオン㈱の調査によれば、図1のように非受診者において「歯科健診の内容がよくわからない」と答えた人は、どちらともいえないと回答した人も含めると86%でした。その回答者に「歯科健診でむし歯や歯周病などの予防処置をしてくれるなら、定期健診を受けたいと思うか」と質問した結果、27%が健診に行くと答えました。

当会で調べたところ、歯科健診もしくは予防歯科、定期メンテナンスという表現でWebsiteに、その内容を掲載している歯科医院は半数程度でした。歯科医にとっては当たり前の内容かもしれませんが、健診の詳細な説明や所要時間、具体的なメリットなどについてWebsite上で説明をすれば、受診率向上につながるのではないでしょうか。
仮に歯科健診の内容がわかったとしても、その料金がわからないと「不安」に感じる人がほとんどでしょう。2020年11月に医療法人社団德昌会 パラシオン歯科医院による全国20代~60代の歯科定期健診で通院している男女を対象に実施した「歯科定期健診の実態調査」によれば、定期健診の通院1回あたりの費用について質問したところ、図2のように『2,000円以上3,000円未満(34.6%)』という回答が最も多く、次いで『1,000円以上2,000円未満(31.5%)』『3,000円以上4,000円未満(16.8%)』『1,000円未満(8.1%)』『4,000円以上5,000円未満(4.6%)』『5,000円以上6,000円未満(2.3%)』と続きました。また通院頻度についても、費用と同様にかなりのばらつきがあることがわかります。
医科の場合は、健康保険組合が健診費用を全額負担していることが多く、頻度は年に1回である一方で、歯科の場合は健診の費用も頻度も事前にわからない点で「不安」に感じます。また2020年4月の診療報酬改定により、これまでは保険が適用されなかった歯科の予防的な治療に保険が適用されるようになったこと、その背景にある口腔の健康維持は生活習慣病やフレイルなどの全身の健康維持にもつながることなど、未顧客の知識「不足」を補う必要があるのではないでしょうか。
歯科医にとって自明のことであっても、専門家の役割として考え、未顧客が知りたい情報、予防歯科による早期発見・早期治療の重要性などの未顧客に知ってもらいたい情報を、自院のWebsiteなどで積極的に発信していただきたいと思います。
次回3月号の後編(2)では、具体的な取組事例についてお話し致します。
