多角化(介護・福祉)
介護事業は拡大すべきか現状を維持すべきか。
居宅系介護サービスの充実は今後の地域包括ケアの浸透からも重要に 経営目標達成の手段として訪問リハビリテーションサービスの検討を
ご質問を拝見する限り、通所リハビリテーションサービス利用者数が増加しておられ、定員以上の需要見込みがあると推察します。居宅系介護サービス(介護予防サービスを含む)の充実は、今後の地域包括ケアの浸透を見据えると、とても大切であるとともに地域から期待されるものであると考えます。
現状、通所リハビリテーションサービスを展開されているとのことですが、これはあくまでも利用者の方々が「施設に通われたうえ」でQOLの維持を図ることが、サービス提供の起点になります。また、ご質問にある通り、地域内に同業者が増加することを念頭に置くと、サービス展開において何らかの差別化を図っていくことが不可欠になります。
ここで注意しなければならないのは、通所リハビリテーションサービスは、あくまでも(介助を必要としながらも)施設に通える方が対象です。とはいえ、リハビリテーションは、継続したサービスの提供がQOLの維持に向けて不可欠になります。そのため、患者さんの疾病やADL等の事情によって、通所できない方々へのサービスを展開していくことが不可欠になると思慮します。
そこで浮かび上がるのが、訪問リハビリテーションサービスの提供です。ついては、「地域住民のQOL維持に貢献」を経営課題・目標とされているなら、その手段として訪問リハビリテーションサービスを展開されてはいかがでしょうか。訪問リハビリテーションサービスを提供できるのは、医療機関もしくは訪問看護ステーションです。また、訪問看護ステーションは、医療法人で設立可能です。以下に、訪問看護ステーションの設立基準等を列挙しますので参考にしてください(自院の名義で展開することについては、この場での説明を省略しますのでご容赦願います)。
上記より、訪問看護ステーションの管理者は、専従の(正)看護師でなければなりません。また、リハビリテーション技師は「適当数」と規定されていることから、訪問リハビリテーションサービスを展開していくに当たっては、1名体制からスタートすることとなります。
訪問リハビリテーションサービスを展開することで、地域住民の方々がADLを問わず貴院が提供するリハビリテーションサービスを受けられるメリットが生じるとともに、通所型・訪問型それぞれの居宅系介護サービスを展開することは、他の事業所との差別化に寄与するものと考えます。