2024年7月発行、渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎が 肖像画の新紙幣
2023.11.20|その他
店での支払はスマホのQRコード決済、電車やバスに乗るときはモバイルSuica、アマゾンや楽天などのオンライン・ショップではクレジットカード決済など、キャッシュレス生活が定着し、現金を使用する機会が少なくなった方も多いのではないでしょうか。
政府主導でキャッシュレスを推進する一方で、2024年7月前半を目途に、一万円、五千円、千円の3券種が刷新される予定になっています。紙幣デザインの刷新は2004年以来、約20年ぶりです。
国立印刷局のホームページには、“新しいお札は150年以上にわたり培った偽造防止技術の結晶”とあり、コピー機やスキャナ等を使った偽造券の作成を困難にする技術、機械読み取りを狙った偽造に対し有効な技術など、たくさんの偽造防止技術が盛り込まれているようです。
新一万円札の表面の肖像画は、日本の資本主義の父とされる実業家、渋沢栄一です。第一国立銀行(現・みずほ銀行)や東京商法会議所(現・東京商工会議所)、東京証券取引所といった多種多様な会社や経済団体
の設立・経営に関わった方で、NHKの2021年の大河ドラマ『青天を衝け』で、初めて知った方も
多いのではないでしょうか。

新五千円札は、女性の地位向上に尽力した教育家、女子英学塾(現:津田塾大学)の創設者である津田梅子です。
新千円札は、破傷風の治療法を開発した微生物学者の北里柴三郎です。現千円札は野口英世ですので、医師が続きました。
表面の肖像は、3D画像が回転したように見えるホログラムの偽造防止技術を導入しているそうです。
ところで2021年11月1日から、財務省が新しい500円硬貨の発行を開始したことはご存知でしょうか。新しい500円硬貨の発行は、2000年以来の21年ぶりで、様々な偽造防止技術が施されています。大きさは旧500円硬貨と同じですが、重量が0.1g重くなっています。目立つ違いは、通常貨幣への採用では世界初となる貨幣の縁に「異形斜めギザ(斜めギザの一部を他のギザとは異なる形状にしたもの)」を導入したことです。
日本の技術力は凄いと絶賛したいところですが、皆さんは自動販売機に500円玉を入れた際、戻ってきてしまい使えなかったという経験はないでしょうか。
原因は、自動販売機が新500円硬貨に対応していないからです。他にもバス・ワンマン電車の両替機、タバコの自動販売機、コインランドリーなどでもはじかれることがあります。キャッシュレス決済が普及する中、企業として多額の費用をかけてまで新硬貨に対応することに二の足を踏んでいるようです。
例えば、京都新聞の2022年12月18日掲載記事の京阪バス広報担当者の説明によれば、「両替機の改修費は1台あたり約10万円かかり、全てのバスを対応させるのには5千万円以上を要する。」とのことです。交通系ICカードの利用者割合が高くなっていることも背景にあるようです。同新聞によると、京都市内にある飲料水自販機50台を調べたら、使えたのは4台だけ。京都府内487カ所でコインパーキングを運営する会
社によれば、対応できる自動精算機は1割程度のようです。
ちなみに自販機や金融機関の現金取扱機器メーカーでつくる業界団体「日本自動販売システム機械工業会」によると、ATM(現金自動預払機)や駅の自動券売機、セルフレジなどについてはおおむね改修が完了しているようです。
スマホ以外の携帯電話はガラケーと呼ばれていますが、“ガラパゴス携帯電話”は日本独自の機能やサービスが発達した携帯電話のことです。南太平洋のガラパゴス諸島の動植物が、周囲から隔絶した環境で独自の進化、多様化を果たした姿になぞらえた表現です。結果的に世界の携帯端末市場において日本メーカーは負け組になり、国内市場もアップルやサムソン、中国メーカーなどに席巻されてしまいました。
日本の紙幣や硬貨の偽造防止技術は世界有数なのかもしれませんが、普及しなければ意味はありません。費用対効果をシビアに考えざるをえない企業にとっては、新硬貨や新紙幣への対応は頭の痛いところだと思います。
新紙幣発行を機にして、現金での支払いが不便になり、キャッシュレスが更に加速化するような気がします。