2026年度診療報酬改定:消化器内科経営実務ガイド
2026.2.24|医療政策医療経営
令和8年(2026年)2月13日の中医協答申および関連資料に基づき、消化器内科診療所経営者に特化した実務レポートを作成しました。
令和8年度診療報酬改定 実務レポート【消化器内科編】
本レポートは、2026年2月13日の中医協答申資料に基づき、消化器内科診療所の経営に直結する重要変更点を解説します。
今回の改定は、**「内視鏡手術等の技術料引き上げ」と「物価高・DX対応のための基本料構造改革」**が二大テーマです。
特に検査・手術を積極的に行う消化器内科においては、専門性を活かした増収のチャンスが大きい内容となっています。
① 消化器内科診療所に関係する主な変更点
内視鏡関連の技術料アップと、鎮静に関する評価の見直しが大きなポイントです。
また、すべての患者に関わる基本診療料に「物価対応」と「セキュリティ」の評価が組み込まれました。
1.内視鏡・手術関連の点数引き上げと見直し
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- 大腸ポリープ切除術の引き上げ: 日帰り手術の主力である「K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」の点数が引き上げられました。
長径2cm未満:12,113点 → 12,580点(+467点)
長径2cm以上:16,153点 → 16,365点(+212点) - 鎮静処置の評価新設: 「L001 吸入麻酔又は静脈麻酔による鎮静」が新設・再編されました。
内視鏡検査時の鎮静に対する評価が明確化されます。
10分未満、10分以上20分未満等の区分が設定されます。
- 大腸ポリープ切除術の引き上げ: 日帰り手術の主力である「K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」の点数が引き上げられました。
2.基本診療料の引き上げと「物価対応料」の新設
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- 初・再診料の引き上げ: 基本点数が引き上げられます。
- 「物価対応料」の新設: 外来診療において、患者1人につき初診時2点、再診時2点が加算されます(令和9年6月以降は点数変更あり)。
3.医療DXとサイバーセキュリティの評価(新設加算)
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- 「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設: 従来の医療DX推進体制整備加算等が廃止・再編され、初診時15点、再診時9点(体制1の場合)等が算定可能になります。
- 必須要件: 算定には**「サイバー攻撃対策」**(バックアップ体制やUTM導入等)が必須となります。
4.医学管理・特定疾患の見直し
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- 特定疾患療養管理料の除外規定: 消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)の患者に対し、投与禁忌となるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を投与している場合は、特定疾患療養管理料の対象から除外される規定が追加されました。
② 変更が消化器内科診療所の経営に及ぼす影響
今回の改定は、内視鏡検査・治療を行う診療所にとって明確な「追い風」です。
一方で、システム投資や賃上げを行わない診療所は、加算の取りこぼしにより相対的に収益性が低下します。
1.収益構造への影響:技術料と基本料のダブル増収
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- 増収要因(技術料): 大腸ポリープ切除術(2cm未満)が約470点(4,700円)引き上げられました。
月間手術件数が多いクリニックでは、これだけで年間数百万円規模の増収が見込めます。 - 増収要因(基本料): 初・再診料のアップに加え、「物価対応料(2点)」と「電子的診療情報連携体制整備加算(初診15点/再診9点)」を確実に算定できれば、外来単価のベースが大幅に底上げされます。
- 増収要因(技術料): 大腸ポリープ切除術(2cm未満)が約470点(4,700円)引き上げられました。
2.算定できる診療所とできない診療所の格差
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- セキュリティの壁: 「電子的診療情報連携体制整備加算」は、初・再診のたびに算定できるため経営へのインパクト大ですが、サイバーセキュリティ対策が要件です。
対策未実施のクリニックは、この収益機会を全て失います。
- セキュリティの壁: 「電子的診療情報連携体制整備加算」は、初・再診のたびに算定できるため経営へのインパクト大ですが、サイバーセキュリティ対策が要件です。
3.患者動向とリスク
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- NSAIDs処方の管理: 胃潰瘍患者へのNSAIDs処方による管理料除外規定が入ったため、処方内容のチェック漏れがあると返戻や指導のリスクが高まります。
整形外科からの紹介患者などで鎮痛剤が出ている場合の確認フローが必要です。
- NSAIDs処方の管理: 胃潰瘍患者へのNSAIDs処方による管理料除外規定が入ったため、処方内容のチェック漏れがあると返戻や指導のリスクが高まります。
③ 取るべき対策
消化器内科診療所経営者が実行すべきアクションを優先順位順に提示します。
【優先度:高】すぐに確認・着手すべき項目(1〜2ヶ月以内)
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- サイバーセキュリティ対策の実施:
新設の「電子的診療情報連携体制整備加算」を4月から算定するため、ベンダーに至急連絡し、自院のシステムが厚労省ガイドライン(医療情報システムの安全管理に関するガイドライン)に適合しているか確認・改修してください。 - 賃上げ計画の策定:
スタッフ(看護師、内視鏡技師、事務)の確保のため、「ベースアップ評価料」を活用した賃上げ計画を策定し、届出準備を行ってください。
- サイバーセキュリティ対策の実施:
【優先度:中】半年以内に整備すべき体制
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- 内視鏡予約枠・手術枠の再計算:
大腸ポリープ切除の点数が上がったため、検査・手術枠の稼働率を高めることが経営効率向上に直結します。
予約フローの見直しや、鎮静剤使用時のリカバリー体制(新設の鎮静評価に対応)を整備してください。 - 処方チェック体制の強化:
「消化性潰瘍患者へのNSAIDs投与」を電子カルテ上でアラートが出るように設定するなど、特定疾患療養管理料の算定要件除外に引っかからないようなシステム対策を講じてください。
- 内視鏡予約枠・手術枠の再計算:
【優先度:低】中長期で取り組むべき戦略
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- 「かかりつけ医機能」の強化:
機能強化加算や生活習慣病管理料の要件厳格化に伴い、消化器疾患だけでなく、生活習慣病も含めた総合的な管理ができる体制をアピールし、安定した再診患者層を維持してください。
- 「かかりつけ医機能」の強化:
まとめ
令和8年改定は、消化器内科にとって**「内視鏡技術への評価増」という大きなメリットがあります。
これを享受しつつ、「サイバーセキュリティ対策」と「賃上げ」**を迅速に進めることで、経営基盤を盤石にすることができます。
特に大腸カメラを行う施設では、単価アップの恩恵を最大化するためのオペレーション見直しが推奨されます。
【本レポートの活用にあたって】
本資料は、2026年2月13日付の中医協答申資料をソースとして 、最新の生成AI技術を用いて当会が独自に分析・編纂したものです 。
速報性を重視しているため、実際の運用や解釈が今後の官報告示等で異なる場合があります 。
投資や雇用などの重要な経営意思決定に際しては、本レポートの示唆を一つの指針としつつ、医業経営の各専門家(コンサルタント、税理士、労務士、弁護士等)による最終的な確認と指導を受けるようにしてください。