新型コロナウイルス感染症を 契機に拡大するオンライン診療
2020.7.20|医療経営
災害発生時、NHKテレビを視ると画面の角に二次元バーコードが常に表示されています。 テレビ局や政府・自治体が、国民に詳しい情報を提供するために、インターネットを活用することが常態化してきました。国民の情報格差は、インターネット環境の有無や検索能力でどんどん広がっていると思います。
総務省が毎年調査・公表している「情報通信白書」によれば、2018年の調査でインターネット利用率は60代で76.6%、70代で51.0%と年々増加しています。今回の全国的な長期間の外出自粛等によって、インターネット利用率は更に高まったのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの感染が拡がって以降、患者さんは医療機関に行くこと自体にリスクがあると考え、定期的な受診や予防接種などを控えました(下表参照)。
日本医師会が実施した「新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査」によれば、4月の外来総点数は前年同月比で病院が5.0%減、診療所は17.0%減と大幅に減少しています。いずれも3月より悪化しており、医療機関の経営は厳しくなっています。

不要不急の判断は人それぞれですので、医学的な観点から受診が必要な患者さんはいたはずです。インターネット利用率が高まっている今、医療機関が自院のホームページなどを活用し、自院の感染予防の対策内容や受診に関する不要不急の判断基準などについて、不安を抱えているかかりつけの患者さんに対して積極的に発信する必要があったのではないかと思います。
5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されましたが、第二波が来る前提で世の中は動いています。収束には、1年以上かかるとの見通しです(下図参照)。厚生労働省は4月10日に新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて通知を出しました。
歯科診療についても4月24日に同様の通知を出しています。“終息”とならなければ、時限的・特例的な取扱いを止めるのは難しいのではないでしょうか。
厚生労働省や各自治体は、ホームページに電話や情報通信機器を用いて診療を実施する医療機関の一覧を開示し、オンライン診療を積極的に推し進めています。収束までの間、オンライン診療・服薬指導について都道府県単位の協議会が実績評価を行うことになっていますが、「Withコロナ時代」が長期化すれば、オンライン診療が普及・定着する可能性があります。
また有料のオンライン健康医療相談サービスを提供する企業は数年前から増加していましたが、非常事態ということで各社は期間限定で無料相談を実施しています。同じ会社でオンライン診療まで実施している場合もあります。かかりつけ医の情報発信が無ければ、無料相談を頼りにする可能性が高まります。これまで何となくかかっていた近所の医療機関と比べて、オンライン健康医療相談・診療をする医師の対応が優れていれば、かかりつけ医を変えようと考える患者さんがいても不思議ではありません。
医療機関の経営者は「Afterコロナ時代」を見据え、「Withコロナ時代」の間に情報発信やオンライン診療などの準備をしておく必要に迫られているのではないでしょうか。
(図)COVID-19の収束までのシナリオ概要

出典:日経バイオテクノロジー「新型コロナの収束シナリオとその後の世界」2020.4.27