コラム

コロナ禍で変わる受療行動

2021.3.20|医療政策

人口動態統計によれば、日本の死亡数は2 0 1 9 年1,381,093人、018年1,362,470人です。単純平均すると1日3,800人弱の方がお亡くなりになっています。新型コロナウイルス感染者の死亡数累計は、2021年1月31日時点で5,720人。なおこの死亡数は直接的な死因が別にあったとしてもカウントされているため、死亡診断書の原死因に基づく人口動態統計の死亡数よりも多めの数値になっています。

感染していても入院できず自宅待機されている方の死亡はニュースで大きく取り上げられますが、孤独死などを含めた多死社会の現実は見逃しがちなのではないでしょうか。
大阪府警検視調査課によると、府内の孤独死(遺体発見までに2日以上経過)は2019年の1年間で2,996人です。全国でおそらく数万人規模になるのではないでしょうか。
他の死亡数を調べてみると、食物(主に餅)が原因となった窒息による6 5 歳以上の高齢者の死亡者数は年間3,500人以上。家庭の浴槽での溺死者数は5,398人で、半数超がヒートショックによる死亡のようです。それぞれ相当な死亡数ですが、最近ではニュースで見聞きすることはほとんどありません。

他人や社会にまで影響を及ぼしてしまう感染症と、他の原因による死亡数を単純に比較はできませんが、新型コロナウイルス感染症への対応は過剰なのかもしれないと感じます。政府が新型コロナを「指定感染症」とする政令を施行したのは昨年の2月。当初、新型コロナウイルス感染症が2類相当とされたのは未知の部分が多かったためですが、少なくとも日本において感染者数は多くても、死者数を押し上げる要因とはなっていないようです。
人口動態統計速報( 2 0 2 0 年9月分)によりますと、2020年1~9月の死亡者は101万4,866人で、前年同時期と比べ1万8,069人1.7%)減少しています。ここ数年、老衰等の理由により年間に2万人前後の死亡者数が増えていたことを踏まえると、想定された数に対して昨年1年間の死亡者数はおよそ4万人程度減少するとの予測です。現場の医師や一部の専門家が表明されているように、季節性インフルエンザと同じ5類相当にするなどの議論が、もっとオープンになされても良いように感じます。

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