コラム

忙しいドクターの 資産運用の王道は 分散投資

2021.5.20|マネー

「投機」と「投資」、その違いはわかりますか?

投機は「儲けの機会を探して短期的な値幅を狙う」ことで、投資は「長期的な利益や配当の成長を期待して資金を投じる」ことです。

「投機」(短期売買)で儲け続けるのは、投資の専門家とされるトレーダーやディーラーでも難しいと、過去の経験則から言われています。また金融リテラシーの高いドクターであっても、投機のために時間を割いて金融市場の状況を把握し、取引を続けることは現実的ではないでしょう。

お忙しいドクターの皆さんには、“投資のための時間をほとんど割かず、株式市場の上げ下げのニュースを聞いても心の安寧を保つことのできる”投資方法である『分割投資』をお勧めします。

分散投資には、「資産(銘柄)の分散」や「地域(通貨)の分散」のほか、投資するタイミングをずらす「時間(時期)の分散」という考え方があります。

第一に、資産(銘柄)の分散です。投資対象となる資産や、株式等の銘柄には様々なものがありますが、それぞれの資産(銘柄)は、常に同じ値動きをするわけではありません。株式と債券、金などでは、経済の動向等に応じて異なる値動きをすることが多く、資産運用会社は各々の値動きの相関係数をみて組合せを判断しています。特定の資産(銘柄)が値下がりしても他の資産(銘柄)の値上がりでカバーする、といったように分散することで価格変動リスクを軽減できます。

第二に、地域(通貨)の分散です。投資対象の資産や株式等の投資対象は、世界中に幅広くあります。こうした投資対象地域の性質による値動きの違いに着目して、異なる状況にある地域の資産や銘柄、通貨を組み合わせて投資を行う手法です。国内と国外、あるいは先進国と新興国のような分け方です。

第三に、時間(時期)の分散です。個々の資産や銘柄の価格の変動を予測するのは困難です。そこで、一度に多額の投資を行うのではなく、積立投資信託のように、少額・定期定額で投資を行うことで、時期による値動きに応じて、価格が高い時期には購入量が結果的に少なく、価格が低い時期には結果的に多く投資を行うことになります。この手法を採用すると、長い目で見て一回あたりの投資価格は平準化されていきますので、短期的な急な値下がりなどが生じても、それによって生じる損失の程度を軽減することができます。

投資対象を分散し、長期間積立をするのが、世界的にも資産運用の王道とされています。その前提は、投資対象がたとえ一時的に大きな値下がりを繰り返したとしても、長期的には値上がりするという過去からの歴史です。リーマン・ショックやITバブル、ギリシャ通貨危機、チャイナショックなどの金融危機や今回のコロナ危機など何度も資産の大きな値下がりがありましたが、時間をかけてそのマイナスを取り返し、むしろ成長しています。将来的に人口の増加→GDP(生産・消費)の増加→企業の利益増加による企業価値の増大→株価の上昇という、正の連鎖が続くという前提が崩れなければおそらく大丈夫でしょう。

                    GDP,時価総額 1985年を100とした場合の推移(米ドルベース)
 

出典:THE WORLD BANK「World Bank Open Data」ウェブサイトのデータより筆者が作成

将来のために資産を育てるとき、いちばん大切なことは、長い目でリターンの最大化を図ることです。投資対象の価格が右肩上がりのほうが安心感はあります。ただ途中段階で大きな値下がりがあったほうが低い価格で購入できるため、最終的なリターンは大きくなります。ですから長期積立投資をする場合は、途中段階の大きな値下がりは実は大歓迎なのです。

一時的な「増えた・減った」で感情を動かされることなく、世界の市場の成長を信じて淡々と資産運用を「続ける」こと、長期的な成長性が高い日本以外の市場、アメリカや新興国にも眼を向けることをお勧めします。

ただ数多ある国内、海外の投資商品を自ら選んで分散投資するのは、ハードルが高いかもしれません。次号では、分散投資のための商品やサービスの選び方について説明します。

 

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